部長・キャプテンの役割とは?チームをまとめるリーダーシップの基本
「部長に任命されたけど、何をすればいいの?」 「キャプテンとしてチームをまとめる自信がない…」
先輩が引退し、新チームのリーダーになったとき、不安を感じる人は多いでしょう。
学習指導要領では、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」活動と位置づけられており、その中心にいるのが部長・キャプテンです。
この記事では、スポーツ庁のガイドラインや専門家の知見をもとに、部長・キャプテンの役割とチームをまとめるリーダーシップの基本を解説します。
部長・キャプテンの3つの役割
1. チームの「顔」になる
部長・キャプテンは、チームを代表する存在です。
- 対外的な窓口:他校との連絡、大会での挨拶
- チームの代弁者:顧問や先生への意見伝達
- 模範となる行動:部員の手本となる
スポーツ庁の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(2018年)でも、生徒が主体的に活動に関わることの重要性が強調されています。キャプテンの姿勢がチーム全体の雰囲気を左右することを意識しましょう。
2. チームと顧問をつなぐ「架け橋」
顧問の先生と部員の間に立ち、両者をつなぐ役割があります。
- 顧問の方針や指示を部員にわかりやすく伝える
- 部員の意見や悩みを顧問に伝える
- 練習メニューや活動方針を一緒に考える
スポーツ庁のガイドラインでは、「活動の運営や指導が顧問の教員に任せきりにならない」体制づくりが求められています。キャプテンが顧問と部員の橋渡しをすることは、この考え方にもつながります。
3. チームを一つにまとめる
最も重要な役割が、チームをまとめることです。
- 部員のモチベーションを高める
- チームの目標を共有する
- 問題が起きたときに対処する
サッカー日本代表元監督の岡田武史氏は、リーダーの役割について「先頭に立ってリードするのではなく、同じピッチの中で戦いながらメンバーと一緒にチームを率いていく」ことだと語っています。これは「キャプテンシップ」と呼ばれる考え方で、部活動のキャプテンにもそのまま当てはまります。
チームをまとめるリーダーシップの基本
1. 誰よりも「行動」で示す
リーダーシップの基本は、言葉より行動です。
- 練習には誰よりも早く来る
- 準備・片付けを率先してやる
- 辛い練習でも手を抜かない
スポーツ心理学の研究でも、キャプテンが「スポーツに真剣に取り組む姿勢を見せること」が、チームメンバーからの信頼獲得に直結するとされています。「やれ」と言うだけでは人は動きません。自分が動くことで、周りも動き出します。
2. 部員の話を「聞く」
リーダー=指示を出す人、と思われがちですが、実は「聞く力」が重要です。
- 部員の悩みや不満に耳を傾ける
- 意見を求める
- 一人ひとりと話す機会を作る
岡田武史氏は「メンバー一人ひとりの主体性を対話によって引き出す」ことがキャプテンシップの本質だと述べています。部員が「話を聞いてもらえる」と感じれば、自然と信頼関係が生まれます。
3. 明確な「目標」を共有する
チームがバラバラになる原因の多くは、目標が共有されていないことです。
- 「県大会出場」
- 「地区大会ベスト4」
- 「全員が成長を実感できる活動」
どんな目標でも構いません。大切なのは、全員が同じゴールを目指している状態を作ることです。
ただし、岡田武史氏は「一体感そのものを目的にしてはいけない」とも指摘しています。まず明確な共通目標を設定し、その目標に向かう過程で自然とチームがまとまっていくのが理想です。チーム全員で話し合って目標を決めると、この流れが生まれやすくなります。
4. 公平に接する
キャプテンは特定の人だけでなく、全員に公平に接することが大切です。
- 仲の良い人だけ優遇しない
- 後輩にも敬意を持って接する
- 実力に関係なく意見を聞く
日本スポーツ協会(JSPO)の運動部活動指導の手引きでも、「生徒の多様なニーズに応じた活動」の重要性が述べられています。レギュラー・補欠に関わらず全員の居場所があるチームが、結果的に強いチームになります。
5. 完璧を目指さない
キャプテンだからといって、全てを一人で抱え込む必要はありません。
- 副キャプテンや他の役職と分担する
- 困ったときは顧問に相談する
- 自分の弱みも見せていい
近年のスポーツ心理学では「サーバントリーダーシップ」(支援型リーダーシップ)の有効性が注目されています。これは、リーダーがメンバーを支え、その力を引き出すことに徹するスタイルです。完璧な統率者を目指すのではなく、メンバーの成長を助ける存在になることが、現代のリーダー像です。
キャプテンが直面しやすい悩みと対処法
悩み1:部員が言うことを聞かない
対処法:
- まず自分が行動で示しているか振り返る
- 一対一で話を聞いてみる
- なぜそうするのか「理由」を説明する
「やれ」ではなく「一緒にやろう」の姿勢が大切です。岡田武史氏も、まず「発言ルールを明確にし、意見を否定しない風土をつくる」ことで、メンバーの主体性が自然に生まれると述べています。
悩み2:実力が自分より上の部員がいる
対処法:
- キャプテン=一番うまい人、ではない
- リーダーシップと競技力は別物
- その人の力をチームに活かすことを考える
スポーツ心理学の分野でも「リーダーシップ=実力ではない」ことが繰り返し指摘されています。コミュニケーション力、責任感、周りを見る力——競技力とは異なるスキルがキャプテンには求められます。
悩み3:チームの雰囲気が悪い
対処法:
- 原因を探る(人間関係?練習内容?目標の不一致?)
- 全員で話し合う機会を作る
- 小さな成功体験を積み重ねる
スポーツ庁のガイドラインでは、生徒がスポーツを「楽しむ」ことを通じて運動習慣を身につけることが重視されています。雰囲気が悪いときこそ、「このチームで活動するのが楽しい」と感じられる環境づくりが必要です。
悩み4:顧問と部員の間で板挟みになる
対処法:
- どちらの味方にもならず、中立を保つ
- 両者の意見をそのまま伝える
- 必要なら第三者(副顧問など)に相談
一人で抱え込まず、信頼できる人に相談しましょう。スポーツ庁のガイドラインでも、部活動は「学校組織全体」で運営すべきとされており、キャプテンだけが責任を負うものではありません。
良いキャプテンになるために今日からできること
1. 挨拶を大きな声でする
基本中の基本ですが、これができているだけで印象は大きく変わります。
2. 誰よりも早く練習に来る
「この人についていこう」と思わせる行動の一つです。
3. 一人ひとりに声をかける
「調子どう?」「今日の練習どうだった?」など、何気ない声かけが信頼につながります。
4. 「ありがとう」を伝える
準備をしてくれた人、頑張っている人に感謝を伝えましょう。
5. 自分も楽しむ
キャプテンが楽しんでいなければ、チームの雰囲気は良くなりません。
まとめ
部長・キャプテンの役割は、チームをまとめ、全員が同じ目標に向かえる環境を作ることです。
リーダーシップの基本:
- 言葉より行動で示す
- 部員の話をしっかり聞く
- 明確な目標を共有する
- 全員に公平に接する
- 完璧を目指さず、周りを頼る
最初から完璧なキャプテンはいません。失敗しながら成長していけば大丈夫です。
学習指導要領が示す通り、部活動は「学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養」に資する活動です。キャプテンとしての経験は、将来社会に出たときにも必ず役立つ貴重な財産になります。自信を持って、リーダーとしての一歩を踏み出しましょう。
参考資料: