部活動の教育的効果とは?データで見る「部活で身につく力」
「部活動って本当に意味があるの?」 「勉強の時間を削ってまでやる価値はある?」
保護者や生徒の中には、こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
文部科学省の学習指導要領では、部活動は「学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するもの」として、学校教育の一環に明確に位置づけられています(平成20年改訂以降、中学校・高等学校の総則に継続して記載)。
この記事では、学術研究や公的調査のデータをもとに、部活動で身につく力と教育的効果について解説します。
部活動で身につく「5つの力」
学級経営心理学研究(2016年)に掲載された河村明和氏の研究展望によると、部活動は「その活動内容に取り組むプロセス」と「集団体験」の両面から、生徒の心理社会的発達に影響を与えるとされています。
具体的には、以下のような力が育まれます。
1. 協調性・チームワーク
部活動では、仲間と同じ目標に向かって協力する経験を積みます。
- チームで勝利を目指す
- 役割分担をして活動する
- 意見の違いを調整する
文部科学省の「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」(2013年)でも、部活動には「人間関係の形成にかかわる力」や「協働する力」の育成が期待されると述べられています。
2. 人間関係を築く力
部活動は、学年や学級を超えた人間関係を作る場でもあります。
栄光ゼミナールが中学生の保護者5,558名を対象に実施した調査(2023年)では、部活動のメリットとして「人間関係が広がる」(48.8%)がトップに挙がっています。
学習指導要領でも、部活動は「互いに協力し合って友情を深めるといった好ましい人間関係の形成」に資するものとされています。普段の教室では関わらない先輩・後輩との交流が、コミュニケーション能力の向上につながります。
3. 継続力・忍耐力
部活動は、毎日の練習や長期的な目標への取り組みが求められます。
- 毎日コツコツ練習を続ける
- すぐに結果が出なくても諦めない
- 辛い練習を乗り越える
文部科学省の調査研究報告書では、部活動を通じて「自己抑制」や「継続する力」といった社会生活に有用な能力が育成されるとしています。「続ける力」は、勉強や将来の仕事にも活きる重要なスキルです。
4. 自己肯定感
努力が実を結んだとき、子どもは大きな達成感を得ます。
- 試合で結果を出せた
- 新しい技術を習得できた
- 後輩に教えられるようになった
国立青少年教育振興機構の全国調査(令和元年度)では、体験活動が豊富な子どもほど自己肯定感が高く、自立的行動習慣(自律性・積極性・協調性)が身についている傾向が確認されています。この傾向は、家庭の社会経済的背景に関わらず見られるという点も重要です。
5. 規範意識・自己管理能力
部活動には、守るべきルールやマナーがあります。
- 時間を守る
- 挨拶をする
- 道具を大切にする
学習指導要領が掲げる「責任感」の涵養は、こうした日々の活動の中で自然と育まれていきます。また、練習と勉強を両立させるための時間管理能力も身についていきます。
データで見る部活動の効果
保護者5,558名が感じるメリット(栄光ゼミナール調査 2023年)
中学生の保護者5,558名、高校生の保護者2,371名を対象にした調査では、部活動のメリットとして以下が挙げられています。
中学生の保護者(n=5,558)
| メリット | 回答率 |
|---|---|
| 体力が向上する | 48.8% |
| 人間関係が広がる | 48.8% |
| 協調性・チームワークが身に付く | 48.0% |
高校生の保護者(n=2,371)
| メリット | 回答率 |
|---|---|
| 人間関係が広がる | 55.0% |
| 協調性・チームワークが身に付く | 43.6% |
約半数の保護者が、部活動を通じた人間関係の広がりや協調性の向上を実感しています。デメリットについては「特にない」が38.3%で最多でした。
部活動と勉強への影響
同調査では、高校生の保護者の 66% が「部活動が子どもの勉強によい影響を与えている」と回答しています。また、中学生の保護者の約7割が「部活と勉強の両立ができている」と評価しました。
部活動で培った集中力や時間管理能力が、勉強にもプラスに働いていると考えられます。
部活動がもたらす「目に見えない成長」
部活動の効果は、数字で測れるものばかりではありません。
社会に出てから活きる経験
文部科学省の調査研究報告書では、部活動を通じて育成される力として以下が挙げられています。
- 人間関係の形成にかかわる力
- 目標設定と達成のプロセスを経験する力
- 失敗から学び、自己を調整する力
- チームで協働して成果を出す力
中学校の部活動の顧問教師を対象にした研究でも、指導目標として「協調性や社会性を身につけさせる」「精神力や責任感を育てる」が上位に挙がっています。これらは社会人になってから、仕事や人間関係で必ず役立つ経験です。
一生の仲間との出会い
部活動で一緒に汗を流した仲間は、卒業後も続くかけがえのない存在になることがあります。
同じ目標に向かって努力した経験は、強い絆を生みます。
部活動の教育的効果を最大化するために
部活動の効果を十分に発揮するためには、いくつかのポイントがあります。
適切な活動時間
長すぎる活動は、疲労やケガ、学業への悪影響につながります。
スポーツ庁の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(2018年)では、以下が推奨されています:
- 平日:2時間程度
- 休日:3時間程度
- 週に1〜2日は休養日を設ける
生徒主体の運営
学習指導要領が「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と定めている通り、生徒が自ら考え、行動する機会を増やすことで、主体性やリーダーシップが育ちます。
保護者・指導者の適切なサポート
過度な期待やプレッシャーは逆効果になることも。スポーツ庁のガイドラインでも、「科学的な根拠に基づいた」指導と、生徒の心身の状態に配慮した活動が求められています。子どもの成長を温かく見守る姿勢が大切です。
まとめ
部活動には、教室の授業だけでは得られない多くの教育的効果があります。
部活動で身につく力:
- 協調性・チームワーク
- 人間関係を築く力
- 継続力・忍耐力
- 自己肯定感
- 規範意識・自己管理能力
学習指導要領が示す通り、これらの力は「学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養」に直結し、学校生活だけでなく社会に出てからも一生役立つものです。
部活動を通じて、子どもたちが心身ともに成長できる環境を、保護者・指導者・地域が一緒になってサポートしていきましょう。
参考資料: